レストランなどの飲食店では、料理や食材の香りが店内に満ちている。
おいしい料理には食欲をそそる香りが付き物だ。
ところが、もし店の周囲の下水道が不整備でイヤなニオイが店内まで漂ってきたり、調理場や化粧室から悪臭がするとしたらどうだろう。
せっかく来店した顧客も、食事を楽しむどころではなくなってしまう。
食事を提供する店では、悪臭は命取りになる。
すぐにイヤなニオイの問題を解決しなくてはならない。
それでも、間取りや設備などの条件によっては、
ニオイを完全に消し去ることができないケースもあるだろう。
そうなると、消臭剤を使ったり、あるいは食事の際に邪魔にならない程度の芳香を流すことで、ニオイを紛らわす事も必要になる。また、食べ物の香りは、調理場から客席、待合室と、フロアの隅々にまで漂ってしまうものだ。いろいろな料理が混ざりあっていたのでは、かえって食欲を減退させかねない。
これは米国での例だが、フォートローダーデールにあるハードロックホテル内のステーキハウスでは、ムッとするようなステーキの香りが、バーやロビーにまで充満してしまうため、顧客から苦情が出るという問題を抱えていた。
そこで、バーやロビーには別の香りを流す事によって、顧客がテーブルへ案内されるまでの時間を快適なものに変えたということである。
さらに、レストランなどでタバコのニオイも大きな問題になる。
今日では、ランチタイムなど決められた時間内での全面禁煙や分煙化が進んでいるが、食べ物の香りとタバコのニオイ、そして多くの人のニオイが混ざり合う場所では、空気の質には十分な配慮が必要だ。
これは喫茶店やバー、スナックなどでも同様である。
漫画喫茶やインターネットカフェなどでも、
臭気の問題が発生しているケースは多い。
あるいはダーツバーなどで雰囲気に合った香りを流せば、
店の個性を発揮する演出に繋がるだろう。
海外のあるレストランでは、顧客が一皿食べ終えて、
次の皿を出す前に、香りを振りまいているところがあるそうだ。
魚料理を出す前にはマリン系の香りを、
サラダを出す前には草原のグリーン系の香りを
まいているという。香りを使ったユニークな演出といえるだろう。