工事現場・建設現場の盗難対策はどうする?
よくある盗難被害と対策法について解説
Theft measures
工事現場・建設現場の盗難対策はなぜ重要?盗難被害の現状とは
工事現場や建設現場といった建設業では、盗難被害に遭うケースが増えています。
盗難のターゲットにされるものは、作業で使った工具、資材・建材、重機、機械、金銭などです。盗品は、外国で売り捌き、利益を得るという手口や、別の現場で使われるということもあるようです。
盗難が起こる背景には、国内外の建設ラッシュにより、建築資材が不足していることが考えられます。また、日本国内の外国人の数が増えたことも一因でしょう。
なお、建設現場で盗難が起きやすいのは、人がいなくなったときでも、外に資材や工具、機械をそのまま現場に置いているためだと考えられます。盗難を防ぐには、対策が必要です。
工事現場でよくある盗難被害とは
工事現場では、どのようなものが盗難被害にあうのか見ていきましょう。
建築資材の盗難被害
工事現場では、さまざまな資材がありますが、なかでも盗難被害が多いのが、塩化ビニールを被せた銅線などの電線類です。
電線類が狙われる理由には、
-
銅類の価格が高騰していること
-
工事現場で使われる量が非常に多いこと
-
量に比例して売り値が高くなること
が挙げられます。
盗品である電線は、トン単位の重量で盗まれるケースもあり、被害額は100万円を超えることもあるそうです。
建機・重機の盗難被害
驚くべきことに、持ち運ぶのが難しいと思われる建機や重機の窃盗事件も多発しています。狙われる建機類は、油圧ショベルカーやダンプカー、発電機など、大型のものから小型のものまでさまざまです。なかでも発電機は、一挙に複数機盗まれた例もあります。
盗まれる時間帯は、工事が始まる前の明け方や、白昼堂々と盗まれることもあります。また、盗まれる時期・地域には傾向があり、年末年始やゴールデンウィークといった連休中に被害が多く、特定の地域で集中的に盗みをはたらいた後、翌月には場所を変えるといった犯行手口が見られます。
工具の盗難被害
工具の盗難も、建設業界では非常に大きな問題となっています。狙われやすい工具には、電動工具をはじめ、精密測定器、フルハーネス型安全帯などがあります。
犯人の多くは、電動工具を狙い、中古市場で高値で転売していることが多いようです。
1度盗みに入った現場で、2度、3度と続けて盗難被害にあうこともあります。また、車内に置いていた工具を狙うケースもあるので注意が必要です。
現場事務所での金銭類やパソコンの盗難被害
現場での盗難被害は、資材や重機、工具だけに限りません。現場事務所をターゲットにし、金銭類や重機などのカギ、パソコン、スマートフォンを盗む被害もあります。これらは事務所に侵入できれば簡単に持ち出せ、被害が拡大してしまうのが厄介です。
たとえば、重機などのカギが盗まれると、重機などが盗まれるといった二次被害が発生してしまいます。パソコンやスマートフォンが盗難被害にあった場合には、顧客情報、会社情報などといった個人情報を盗まれることにつながり、情報漏洩の恐れがあります。情報漏洩は会社の管理責任を問われ、信用を失うことにもなりかねないため、しっかりとした盗難対策が必要です。
盗難以外の被害
工事現場では、盗難以外の被害も起きています。
盗難以外の被害は、建設途中の建物や現場事務所に入る「不法侵入」や、工事現場に置いてある木材などへの「放火」、「建設物の損壊」などです。
これらの被害は、建築物よりも侵入が容易な工事現場だからこそです。そのため、工事現場に侵入させない対策も必要となります。
工事現場の盗難被害をなくすための対策方法とは
工事現場における盗難対策方法について、概要やメリット・デメリットを説明していきましょう。
警備会社に警備を依頼する
防犯対策として非常に効果があるのが、警備会社に警備を頼み、警備員を配置することです。
警備会社に警備を頼むメリットは、
-
警備会社や警察に迅速に通報できる
-
犯人の侵入を防いだり、犯行を思いとどまらせる「心理的抑止」がはたらく
-
機械のような誤作動がなく、侵入者の人影や怪しい動作などを正しく判断できる
などが挙げられます。
一方、デメリットとしては、コストがかかることでしょう。ただし、コストがかかったとしても、しっかり警備をしてもらえる点では安心感があります。
防犯カメラを設置する
防犯カメラは盗難被害対策においても有効です。
昨今の防犯カメラは、鮮明な映像を捉えるカメラや広範囲の撮影、映像を記録し、離れた位置に送るなどの優れた機能をもっています。そのため、防犯対策や威嚇効果だけでなく、窃盗犯や窃盗犯が乗り付けて来た車両の特定に役立ちます。また、カメラ自体の大きさが小型化されており、犯人に気づかれにくくなっているのも良い点です。
しかし、防犯カメラにもデメリットがあります。それは、防犯カメラ自体では、犯行を止められないということです。また、犯人に防犯カメラを気づかれたら、壊される恐れもあります。
防犯カメラにはこういったデメリットはありますが、犯罪行為を未然に防ぐ効果はあります。防犯カメラの設置と、ほかの対策を組み合わせて対策するとよいでしょう。
センサーライト・警報装置を設置する
センサーライトや警報装置を設置するのも対策のひとつです。
センサーライトは、夜間に侵入者などを感知したら、ライトが点灯するというものです。なかには、点灯したと同時に防犯カメラの録画を開始したり、連絡先に通知するものもあります。
警報装置は、侵入者を感知したら、大きな音を鳴らす装置のことです。なお、センサーライトと警報装置がいっしょになった防犯アイテムもあります。
これらのメリットは、犯人に対して威嚇効果、犯行を抑止する効果があることでしょう。しかし、センサーライトや警報装置は人以外のものに反応して誤作動してしまう場合があるのがデメリットです。
重機などに発信機器をつける
重機などの防犯対策としては、発信機器をつけることがおすすめです。
発信機器の多くはGPSを利用し、盗まれたものを追尾することができます。万が一盗まれたとしても、すぐに場所を特定することができるのがメリットです。
デメリットとしては、発信機器自体に抑止効果がないことが挙げられます。そのため、ほかの対策とあわせて活用しましょう。
スマートフォンを利用した監視を行う
工事現場での盗難事件の犯行は、ほとんどの場合、夜間や作業員がいなくなった時間帯に行われます。ということは、これらの時間帯に監視をすれば対策になるわけです。
そこでおすすめなのが、スマートフォンを利用した監視です。防犯カメラや防犯センサーといった防犯システムとスマートフォンをつなぐことで、遠隔で監視できます。スマートフォンがあれば、いつ、どこでもリアルタイムで監視ができるのがメリットです。また、なにかあったときにスマートフォンに通知がくるよう設定できるものもあります。
ただし、導入する防犯カメラによっては監視できる範囲に限りがあります。また、導入・運用にコストがかかるのがデメリットといえるでしょう。
今すぐできる盗難対策5選
Theft measures
前述した防犯対策よりも簡単にできる防犯対策をご紹介します。ただし、ご紹介する盗難対策は、防犯対策よりも盗難リスクの軽減度は限定的ですので、防犯対策と組み合わせるなどして実施しましょう。
対策①工具に社名や名前を書く
工具に社名や名前を油性ペンで書く、または掘るだけで、一定の盗難防止効果が見込めます。名前を書いておけば、転売目的の犯人も、諦めやすくなるでしょう。
ただし、犯人のなかには名前を消すことを前提に盗みをするケースもあります。工具に名前を書く以外の盗難対策も併せて行うようにしてください。
対策②そのままの状態で使えないようにする
工具や機械の機器をばらしたり、重要部品をはずしておいて、そのままの状態で使えないようにするのもひとつの対策です。
多くの犯人は、すぐに使える工具を欲しがり、盗みます。機器がばらされていたり、重要部品がはずされていたりすれば、転売できないため、盗難抑止につながるでしょう。
ただし、一見して機器がばらされていること、重要部品がないことがわかるようにしておいてください。
対策③目隠しする
高価で転売できる工具が現場にあることを知られてしまうと、盗難の標的になりやすくなります。
そのような工具には、使っていないシートや毛布などをカバーにし、工具にかけて目隠しましょう。このとき、工具は人目のつかないところで保管することも大切です。
万全な盗難対策とは言えませんが、目隠しするだけでも盗難の可能性が低くなります。
また、コストはかかりますが、鍵付きの工具保管庫を使うのもよいでしょう。
対策④工具は持ち帰る
工具の盗難対策でおすすめなのが、現場に工具を置いて帰らないことです。これは、お金をかけずにでき、なおかつ簡単です。
毎日工具を持ち帰る煩わしさはあるかもしれませんが、現場で工具が盗まれることはなくなります。また、工具を持ち帰る際に、工具を点検、整理することで、作業中に盗難が起きたとしても、気づきやすくなるのもメリットです。
対策⑤ 防犯ステッカー
防犯ステッカーには、「防犯カメラ作動中」や「24時間監視中」、「非常通報システムが作動します」といった文言が書かれており、目につきやすい場所に貼るだけで簡単に対策できるのが特徴です。盗難防止はもちろんのこと、抑止効果も期待できます。
なお、近年増えている外国人による犯罪防止のために、外国語で書かれたステッカーを用意するのもよいでしょう。
盗難被害対策のために心がけたいポイント
万全の対策を行う
工事現場での盗難被害は、多くの場合、金属類や工具です。しかし、犯人はそういったもの以外のものにも目を光らせています。たとえば、事務所に置いてあるコピー機やパソコン、スマートフォン、廃材、顧客名簿、個人情報などです。これらはすべて換金できるもの。犯人は「換金できるものかどうか」を判断基準にものを盗みます。
万が一盗難事件が起きると、作業にも影響が出てしまいます。どんなものも盗まれないように、万全の対策をしておくことが大切です。
内部犯行の対策も立てておく
残念なことに、内部の人間が盗難事件を起こすこともあります。大きな事件では、内部の人間が協力者となり、実行犯を誘導して大きな組織で盗みをはたらくケースもあるのです。
規模の大きい工事現場では、人の出入りも多く、関係者なのかどうかの判断もしにくくなり、一人一人のチェックも緩んでしまいます。
大切なのは、どんな規模の現場であれ、資材の管理責任者を決めておくことです。管理責任者に資材の搬入時期といった情報を管理させると、不特定多数に情報を知られることがなく、犯行をしにくい状態が作れるでしょう。
建設工事保険に加入する
工事現場での盗難における被害を軽減するための保険があります。それが「建設工事保険」です。
一般的に保険の対象となるのは、「契約時に対象物に含めているもの」で、
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工事の目的物
-
工事に付随する仮工事の目的物
-
工事用資材・材料、工事用仮設材
などが該当します。すべての盗難が保険でカバーできるわけではないので、そこは注意してください。
保険に加入している場合は盗難されたものが保険の対象となっているかを、今後加入する場合はどこまでが保険の対象なのかをチェックしましょう。
盗難被害にあったら?とるべき対処法について
盗難被害にあった場合には気が動転してしまい、あれこれものを触ったり、動かしてしまいがちですが、盗難が起こった場所はそのままの状態にしておくことが重要です。そのままの状態にしておくことで、のちに警察の操作が入ったときに指紋などの証拠を取れる可能性が高くなります。
盗難被害の現場をそのままの状態にして、速やかに警察に行き、被害届を提出してください。このとき、身分証明書や印鑑を持っていくようにしましょう。スムーズに手続きが行えます。
被害届は詳しく書くことで、事件解決、犯人逮捕の可能性が高くなります。盗まれた場所、盗まれた時間帯、盗難にあった工具などのメーカー名、型番、シリアルナンバー、色、特定できる特徴、購入店舗、購入日など、わかる範囲で警察に伝えるようにしてください。
盗難対策は万全に
工事現場の盗難対策・防犯対策は、1つだけでなく、複数の対策を組み合わせて行うとより安心です。さまざまなケースを想定して、万全な対策をとっておきましょう。
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